2014/12/04

成熟技術における技術革新 ー空調ー

空調は今やわれわれの社会生活や産業に不可欠なものとなっているが、これは成熟技術であり、ここ何年かにわたって画期的な技術革新は起こっていない。原理そのものは何十年も同じままである。空調エンジニアリング企業は、既存技術の効率化に知恵を絞っているが、ここまで成熟化してくると、飛躍的な効率の向上は難しい。業界全体が、クリステンセンが指摘する、既存技術の典型的な状況にあると言える。

クリステンセン(2001)『イノベーションのジレンマ』

しかし、地球温暖化が真実だとすれば、今後40年にわたって温帯・熱帯地域の人口が急速に増加することはほぼ確実なので、設置と運用コスト(エネルギー費用)の点で画期的に安価で簡単な空調技術の需要が爆発的に増加することは間違いない。そして、大きな需要があれば、遅かれ早かれ必ず技術革新が起きると見ている。このような従来技術の延長線上にはない、全く新しい技術がでてきたときに、専ら従来技術の精緻化に特化してきた企業群があっという間にシェアを失うことは、歴史が示す通りであり、このことはクリステンセンの前掲書にも詳しい。

そう考えていたら、先週の The Economist に、太陽光を反射する膜をつかって、効率的に室内熱を宇宙に輻射する技術についての記事があった。

Electricity-Free Air Conditioning

勿論未だ研究室段階で実用化までの距離は遠いが、「空調の可能な技術は従来方式だけでない」という好例である。技術革新というのは、一旦弾みがつくと、あちらこちらで次々に新しいアイディアが出て、どんどん進展するようになる。今まで、変化に乏しく、どちらかというと安定した(あるいは退屈な)状態にあった空調業界も、エキサイティングな時代になりそうだ。

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