2014/12/18

野生の鳥は同調主義者?

日本では、野生動物の文化というと、海水でイモを洗って食べる宮崎のサルだが、英国では牛乳瓶の蓋を破ってクリームを食べる great tit(シジュウカラ、「巨乳」ではない)が有名だった。英国でも日本と同じように、かつては牛乳瓶が毎朝配達されたのだが、日本と二つの大きな違いがあった。

(1)日本の牛乳瓶の蓋は厚紙でとても鳥には破れそうもなかったが、英国の牛乳瓶の蓋はアルミ箔で、鋭い道具(例えばシジュウカラのくちばし)で簡単に破ることができた。

(2)英国で当時配達されていた牛乳は熱殺菌処理がされてなく、直ぐにクリームが分離して上の方に浮かんだ。日本の牛乳はクリームが分離することはなく、長持ちする。筆者は1970年代と80年代に英国に住んだことがあるが、当時の牛乳は冷蔵庫に入れても数日で酸化が始まり、「日本の牛乳は何故あんなに長持ちするのか」と気味悪くなった。

これで、シジュウカラの間に、早朝配達された牛乳を家人が取り入れる前に、蓋を破ってクリームを食べるという美味しい行為が発見され、シジュウカラ社会にこれが拡がって、「動物の文化」の例とされるに至ったのである(この事情は、宮崎のサルに似ているが、サルの話は「創作説」もある)。

Oxford 大学の動物行動学者 Lucy Aplin 博士は、左右どちらからも開いてエサにありつける箱を森に設置し、特定地域のシジュウカラがどちらから開けることを学習するかを調べた。シジュウカラが集団毎に右から開くか左から開くかを学習共有したことは予想通りと言えるが、驚くべきことは、例えば右から開ける集団にいるシジュウカラを左から開ける集団に入れると、従来のやり方を捨てて周りに同調し、左から空けるようになることを発見したことである。

もし、同調という行為が本能に基づくものであれば、「Be different!」などというのは、本来の性質に反するとても無理な行為を要求していることになるのかも知れない。「個性的な人生」や「個性的な考え方」など、幾ら掛け声を掛けても、容易に実現できない訳だ。また、企業などの組織の中で「イノヴェイティヴな人材」などと言ってみても、これは無理な相談だと分かる。皆と同じ同調的な考え方しかできない我々は、安心しても良いことになる。

The Economist の記事
Nature の記事



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