2010/02/06

IT投資の効果を実証する

平野雅章(2007)『IT投資で伸びる会社、沈む会社』日本経済出版社


情報投資(IT投資)の効果は、経済全体レベル(マクロレベル)では生産性の向上として測定されていますが、企業レベル(ミクロレベル)では必ずしも測定されていません。実証研究と称するものも、その多くは効果を(担当者/アンケート回答者の)主観で測定していて、本書の出版当時(2007年)、企業業績のような客観的な効果を測定している実証研究は殆どありませんでしたが、今もその状況は変わりません。

本書は、著者と共同研究者による日本企業のIT投資と企業業績についての客観的データによる実証研究を基に書かれています。学術論文・学会発表のレベルのデータ分析の結果を、ビジネス人の方々に分かり易く説明することを目指しました。

主なポイントは、
(1)IT投資と企業業績との間には緩い相関関係が見られるが、バラツキ(分散)が大きすぎて、IT投資以外の要因で企業業績を説明する必要がある。
(2)組織能力が高い場合には、IT投資と企業業績との相関が高く、IT投資のリターンを期待できる。
(3)組織能力が低い場合には、IT投資と企業業績との相関は見られず、回帰線を引くと右下がりになる(IT投資をすればするほど業績が落ちる)場合が多い。
(4)組織能力は「組織IQ」という尺度で測る。
(5)「組織IQ」の向上法
などです。

企業におけるERPなどのIT投資が必ずしも効果を上げていないと感じられている方々は、是非手にとって読んでみてください。IT投資のリターンが上がらない理由が分かり、リターンを向上させるための重要なヒントを得られます。

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