公に確認されている事実は、
(1)当該大学の入試時間中に問題が Yahoo! 知恵袋に質問投稿された。
(2)数分から数十分後にこれらの問題に解答が投稿された。
(3)入試時間中に、質問者から、お礼も投稿されている。
(4)すべての質問に使われたIDは同一であった。
等である。
これらの事実から推定される背景は、
(1)投稿当人が合格したかったとは考えられない。
(2)解答を作成投稿するために待機しているグループが存在する。
ということである。
ありうる正解は、新たな(不正)受験ビジネスではないだろうか。
予め客(受験生)を募り、問題投稿者(受験手続きをして、受験生として受験会場で問題を打ち込み、投稿する)と解答者(待機していて、投稿問題に、直ちに答える)を用意しておいて、客には、「困ったら、Yahoo! 知恵袋を見るように」指示しておく。インターネットであるから、客以外の者が解答を知り利益を得る可能性もあるが、これには目をつぶる。
問題投稿者の携帯電話が特定される可能性はあるが、解答を見るためにアクセスした客を特定することはまず不可能であろう。実際の入試以前に同一IDから、問題の解答を求める投稿があったそうだが、これは、解答者の候補者を捜すプロセスだったのではないか。つまり、問題に解答してきた人に、このビジネス参加(本番のときに待機していて、直ちに解答を投稿することで、謝礼を得る)を勧誘したと考えられる。
以上のように考えると、今回の事件は全く不思議はないが、唯一不思議なのは、「どのようにして短時間に問題文を携帯で打てたか」ということ。
大学当局も、記者会見で怒ってみせるだけでは解決にならず、もし現行の入試制度を維持したいのであれば、
(1)入試に使う教室を(一部のコンサートホールのように)携帯電波使用不可能になるように工事する(とても高コスト)。
(2)携帯電波にジャムを掛ける(附近から苦情が出るだろうし、法律的にも問題あり?)
(3)徹底的な身体検査(入場に時間が掛かる)
(4)携帯電波を探知する装置を各教室に設置(コスト高だが、通常の期末試験などにも使える)
などの対策を考えねばならない。従来からのやり方に安住してきた大学当局の責任は重いのであって、反省が足りないように見受けられる。
他方、新しいITCの存在を前提とすれば、中国の科挙以来千年以上にわたって革新のなかった選考方式を改めて、全く新しい選考方法を考案導入することの方が、遥かに優れた対応である。技術革新が、大学における選考方式革新を強制していることの社会的・歴史的意味は非常に大きいのだが、文科省や大学当局がこのことを理解しているように見えないことは残念である。
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後日談
その後、浪人生の単独犯ということになったようである。
犯行の余りの単純さと想像力の欠如に、とてもがっかりした。
しかし、大学の責任は重い。